『生き物の死にざま』稲垣栄洋著 草思社 1400円+税
『生命が地球に誕生したのは三八億年ほど前のことである。
すべての生命が単細胞生物であったこの時代に、生物に「死」は存在しなかった。
(中略)「死」は三八億年に及ぶ生命の歴史の中で、
生物自身が作り出した偉大な発明なのである』と著者はいう。
進化を重ねた結果、生まれたシステムが「死」なのだと。
本書では生物たちのその"死にざま"が紹介されている。
あるものは相手に食べられながらも交接を続け、
あるものは我が子のために自らの体を差し出し、子らにその体を食ませる。
その光景を無残とみるのはヒトの勝手で、
すべてそれは「子孫を残すため」にとられる尊い行為なのである。
(ただ、こうして子孫を残すための形で天寿を全うできるのはとても幸運)
「産まれる、生きる、そして死ぬ」生物学的にみれば、
ヒトはそのシンプルさに欠ける退化した生物なのではないかとも思えてくる。
生き物それぞれが見せる"死にざま"に、何を思うか。