表参道「大坊珈琲店」でのキムホノの定位置は、L字カウンターの角近く。
展覧会などで東京にいる時は連日、開店からお昼まで
手回しロースターで豆を焙煎する大坊勝次の真ん前に陣取り
「大坊珈琲の時間」を楽しんでいた。
ビルの取り壊しにより、四半世紀通った
かけがえのない場がなくなると知り、着想されたのが、この本だ。
閉店1カ月前の2013年11月23日、愛知県より日帰り取材を敢行。
2014年9月6日に下北沢「B&B」で開催された
『大坊珈琲店』(誠文堂新光社)刊行記念イベントを皮切りに、
東京、名古屋、瀬戸と場所を移しながら
珈琲について、店と経済について、つくることについて、
好きなことをして生きていくことについて、存分に語り合った。
流されず、自らの足で凛と立って生きるふたりの姿と言葉を
ひとりでも多くの人に届けたい。
『大坊珈琲の時間』
大坊勝次・キムホノ 写真 木村一成
A5変形判 本文152p
カラー 64p + モノクロ 88p
著者:
大坊勝次
1947年岩手県盛岡生まれ。「大坊珈琲店」店主。1975年の開店以来、自家焙煎、ネルドリップというスタイルも内装も変えずに営んできたが、2013年12月にビルの取り壊しにより、惜しまれつつ閉店。
キムホノ
1958年愛知県瀬戸生まれ。独立以来30年間、常に「まだ見ぬもの」を追い求め、陶芸、絵画、書などをつくり続ける。
写真:木村一成
1966年愛知県一宮生まれ。幅広いメディアの撮影を手掛けるかたわら、渓流釣りと渓流魚の記録撮影も長年続けている。
知的障碍者を撮影したルポ作品「眼差し」にて、中日新聞社賞受賞。『棲』特集ほか、連載「この人、この棲」を担当。