春の安西水丸展⑪ ONE DAY
会期:2025年3月6日(木)ー3月29日(土)
開廊時間:平日 11ー19時 土 11ー17時 日・祝休み
没後10年の節目を迎えた2024年、
安西水丸制作による数枚の銅版がアトリエで発見された。
果たしていつごろの作品か、なぜ銅版画を試みたのか、いくつかの謎が残った。
この謎を解き明かすべく、版画家・山本容子がその筆致を辿り、
安西水丸最初で最後の銅版画集が誕生した——
漫画家、イラストレーター、装丁家、エッセイスト、小説家とたくさんの顔を持つ安西水丸さん。
そんな安西さんの膨大な数の作品が保存されていたアトリエで発見された銅版から刷り出した版画を、
銅版画家の山本容子さん監修のもと、一冊の本へと紡いだのが銅版画集『ONE DAY』です。
2024年3月に刊行されたトラベルマガジン『Coyote No.82 特集 安西水丸の教え』の取材で、
安西さんのアトリエを訪れた際、編集部は腐蝕が進んで黒くなった銅版を偶然発見しました。
いつ作られたものなのか、なぜエッチングを試みたのか、安西さんの妻岸田ますみさんも知りませんでした。
そこで編集部は銅版画家の山本容子さんのもとへと銅版を持ち込み、その筆致を辿ってもらいます。
山本さんは繊細な描線と独特な色彩感覚で独自の世界を確立し、
絵画に音楽や詩などを融合させるコラボレーションで数多くの作品を生み出している銅版画家です。
山本さんに銅版画の教えを受けたアーティストには、
グラフィックデザイナーの和田誠さんや絵本作家の佐野洋子さん、沢野ひとしさんがいます。
山本さんの職人技によって磨かれ、黄金色の輝きを取り戻した銅版は、
いずれもサイズはB5大のもので、モチーフはそれぞれ「窓と植物」、
「ヘリンボーンのジャケットを着た男とボーダーのTシャツを着た女」、「ヌードの女とジャケットがかかった椅子」。
安西さんの机の引き出しに眠っていた幻の作品が、日本を代表する銅版画家の手によってひもとかれ、現代に蘇ります。