2021年4月15日
山陽堂書店メールマガジン【2021年4月15日配信】
山陽堂書店ではメールマガジン配信しています。
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山陽堂書店メールマガジン【2021年4月15日配信】
みなさま
こんにちは。
今日は僕自身が待ち望んでいたこちら。
山陽堂HiFiブレンド
京都でHiFi Cafeを営んでいた吉川孝志さんが東京に戻られたタイミングで
、
「山陽堂珈琲のオリジナルブレンドを一緒につくってほしいです」と相談したのが昨年7月のこと。
それまではコーヒー豆店で買ってきた2種類の豆を独自にブレンドして味をつくっていました。
ただ、この方法では及第点は取れても、それ以上を出せないことが少しずつわかってきたところでした。
オリジナルブレンドづくりは自分がつくりたい味について伝えることから始まりました。
「スモーキーさや苦味ではなく甘みが感じられるもので、酸味はなるべく除きたいです」までは良かったのですが、それ以上珈琲用語的な語彙がなかったため、ここからはほとんどをニュアンスで伝えるようになります。
「思い描いているのは丸い味です」
「ただ、漢字でいうと『丸』というより『和』の方です」
「明るさのなかにも重厚さが感じられるようなものが良いです」
最初に持ってきてくれたのはブラジル・コロンビア・エチオピアの3種類でした。
クセのないブラジルをベースにしたいとも伝えていました。
この3種類の比率を変えたりしていろいろと試したのですが、どうもしっくりこず。
直接的な言葉で伝えることはなかったものの、僕のしっくりきていない様子を察してか、
焙煎具合を細かく調整して新たなサンプルを届けてくれるということを繰り返し行ってくれました。
しかし、それでも思うようにオリジナルブレンドづくりは進まず。
思い描く味がぼんやりとしていて、はっきりと伝えられないことが申し訳ない気持ちでした。
(好きな女の子のイメージはなんとなくあっても、いざ出会わないと誰を好きになるかなんてわからない、というような。やかましいですね。)
吉川さんとは豆を届けてもらうたびに、カウンターを挟んで対話をするということを繰り返しました。
オリジナルブレンドのことについてだけではなく、珈琲を淹れている時に考えていることも話をしました。
「焦げがある豆や形がいびつな豆、パッと見て自分と波長が合わなさそうな豆は除けてます」
「淹れる珈琲には自分のなかに少しだけある真面目な部分を含ませられるようにと意識しています」
「(最初のお湯を)おとして蒸らすときにたちのぼる甘い香りにテンションがあがります」
珈琲をのむことよりも淹れることの方が好きであることや、お互いの得手不得手の話などもしました。
2021年、年が明けてから最初にお客様としていらしてくださったのは吉川さんでした。
珈琲をのまれたあと、AとBのサンプルを置いていってくれました。
後日再びいらしてくださったときに「意外にもAのアフリカの豆の方がより良かったんです」と伝えると、それを予想していたのか、タンザニア・ケニア・ルワンダのブレンドを新たなサンプルとして持ってきてくれていました。
それからもいくつか試作を重ねてもらい、オリジナルブレンドはタンザニアとケニアの2種類の深煎りをブレンドしたものに落ち着きました。
深煎りながらスモーキーさは抑えめで、口に含んだときに甘さが感じられる、丸い味を実現できる山陽堂珈琲オリジナルの山陽堂HiFiブレンドです。
珈琲豆の特徴や焙煎についてを熟知し、時間をかけて話を聞いてくださる吉川さんとだからできたブレンドといえます。
当初考えていたブラジルから巡り巡ってタンザニアとケニアまで来られたのは、
僕が伝えた曖昧な言葉や大切にしている感覚などを丁寧に読み解いてくれたからです。
見ただけで丁寧に焙煎されたことがわかる珈琲豆を前にすると、
珈琲を淹れるということがこれまで以上に問われるようでプレッシャーを感じ、緊張感もあります。
ただそれだけに、思い描いたものを淹れられたときの喜びは大きいです。
「山陽堂HiFiブレンド」はこれで完成ということではなくて、これからも吉川さんと対話を重ねながら、豆の種類や焙煎の具合を変えることも含め、その時その時でより良いと思えるものをつくろうと考えています。
好みはそれぞれですので、これまで提供していた味も引き続きご注文いただけます。
性格が異なる少し明るめのこちらの味も大切にしています。
山陽堂珈琲で提供する山陽堂HiFiブレンドは1杯 700円。
来週21日(水)頃の入荷分より50g 500円から豆の計り売りも致します。(別途紙袋代・瓶代)
写真は瓶代込み60g 800円です。
販売状況によりお売りできないこともございます。
ご了承ください。
郵送での購入を希望される方はこちらのメールへの返信にてお問い合わせください。
〈山陽堂珈琲で開催中〉
◇縁つなぐ、お坊さんのオススメ本フェア
全国各地で様々な活動を行っているお坊さんとその仲間達のおすすめ本と、
僧侶でありアーティストの石田明里さんの作品が並びます。
選書したお坊さんたちによる書籍紹介文が掲載された冊子『縁つなぐ、お坊さんのオススメ本 フェア副読本』もお配りしています。
(〜5月8日まで)
2021年4月 8日
山陽堂書店メールマガジン【2021年4月8日配信】
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山陽堂書店メールマガジン【2021年4月8日配信】
みなさま
こんにちは。
長いこと当店にも営業に来てくださっている出版社のSさんが、
3階で何度目かの珈琲を飲んでいってくれた日のこと。
カウンター越しに話をしながら、「この人の本、好きだと思うわよ」と教えてくれた本がありました。
Sさんの見立てであれば多分そうだろうなぁとは思っていましたが、仰る通り、僕好みの本でした。
「他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと」幡野広志・幻冬舎
https://www.gentosha.co.jp/book/b13377.htmlwebメディア cakesで人気の人生相談コラムの書籍第2弾。
ガンにより余命宣告を受けたことを公表した写真家 幡野広志さんのもとに届いたのは、
"想定内"の応援メッセージや各種勧誘のメッセージ、そして"想定外"の人生相談メッセージの数々でした。
1年半で約4,000件の悩み相談が寄せられ、それら人生相談に対しては1週間のうち2〜4時間程度を費やしていると本文内に記されています。
人生相談ほど人柄をあぶりだすものはない。(はじめにーより)
寄せられた相談内容にある一行や言葉の言い回し、記されてはいない行間から幡野さんがあぶりだすものは、
当事者であることで見失ってしまっていたり、無意識に目を背けてしまっている問題(悩み)の本質や解決の糸口だけではありません。
相談者自身が被害者を装った加害者であることや、誰かのために何かを選択していることにする相談者の狡猾さなんかも、はっきりと指摘します。
こんな一件があっても彼氏と付き合っていられるんだから、それはもうそれでいいじゃないですか。
一般的な価値観をもっている男性だって、あなたみたいな人とはお付き合いをしたいとはおもわないんですよ。
お父さんのことは「父」、お母さんのことを「親」と書き分けているけど、あなた本当はお母さんのこと苦手でしょ。
「虐待ぐらいの勢い」ってあなたは濁して書いているけど、ほんとうはやってはいけないって自覚あるぐらい虐待しちゃってるでしょ。
かなり耳に痛いことが返されることも多く、相談者によってはショックを受けたり、ちょっと怒っちゃう人もいそうなくらいです。
ここでは取り立てて「(相談者に)バシっと言ったなぁ」というものを前後の内容を記さずに抜き出したので、
冷たい印象を受けてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
これは全文を読んでみて感じてもらいたいことなのですが、幡野さんは相談者を決して否定することはなく、突き放しもしません。
どんな相談内容であっても、相手のことを認めています。
本のなかに書かれていた2つの言葉に、その理由を見たように思いました。
僕は相談に答えるときに、いつも3歳の息子から相談されたと妄想しながら答えるんです。
職業なんて本当になんでもいいんだよ。
ぼくはたまたま写真家だけど、いまはこうやって文章を書くことをしています。
写真を撮ったり文章を書いたりするさきにある、自分の伝えたいことを伝えるということをしているだけです。
僕自身にとって励みになるように思えた言葉もありましたが、より印象に残っているのは、
何かに対してやらない(できない)ことについて"もっともな理由"があるように語る僕自身の甘さやズルさを、
正面から指摘されて戒められたように感じた言葉の数々でした。
(今週は月曜日から反省することも多かったので余計に響いたのかもしれません)
「優しい言葉や行為」と「優しいこと」とは、まったくの別物であると、僕は思っています。
(重なるところもたくさんあって、その人との関係性によるところもあるので一様ではないのですが。)
僕自身、"優しそう"なだけの行為や、相手を思っているようにみえてよくよく考えると全部自分に向けられているような行為には気をつけようと思いました。
それから。
読みながら、ときに"耳に優しくはない"言葉を僕に伝えてくれる何人かの顔が思い浮かび、改めてありがたく思っていました。
だってそういった言葉は、伝える側にこそエネルギーがとても必要なことですから。
大げさかもしれませんが、自分の身(エネルギー)を削ってでも伝えてくれたそういった言葉を、これからも大切にしようと思っています。
今日の追伸は「それがここ?」です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
山陽堂書店
萬納 嶺
2021年4月 1日
山陽堂書店メールマガジン【2021年4月1日配信】
山陽堂書店ではメールマガジン配信しています。
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山陽堂書店メールマガジン【2021年4月1日配信】
みなさま
こんにちは。
先週の土曜日、美術家 おおらいえみこさんより届いたメール。
「
あの笑顔と真顔のクルクル入れ替わる表情のインタビューをご覧になりましか?
ファン急増中でしょうね、きっと。と、いうことをお伝えしたくて。」
以前、熱海富士が序の口で優勝した数日後にお会いした際「インタビューが最高でしたよね」と話が盛りあがったことを覚えてくれていて、
今度は序二段で熱海富士が優勝したことを知らせてくれたのでした。
(おおらいえみこさんは大相撲ファン)
さっそく動画を検索してインタビューを拝見。
今回もまた、最高です。
お時間ございましたら「熱海富士 インタビュー」で動画を検索してみてください。
いまこうして文字を打ちながらも思い出し笑いで手元が狂ってしまい、入力ミスを繰り返しています。
おおらいえみこさんや僕と同じく熱海富士に心奪われてしまった方がいらっしゃいましたら、
山陽堂珈琲にお越しくださった時に「熱海富士」とひと言お伝えください。
おおらいえみこさんが制作された「相撲」がモチーフの器(小ぶりのフリーカップ)に珈琲をおつくり致します。
(熱海富士が淹れたものと思って呑んでください)
さて、本日ご紹介するのは第18回山陽堂ブック倶楽部の課題本のこちら。
「短歌ください 明日でイエスは2010才篇」穂村弘・角川文庫
https://www.kadokawa.co.jp/product/322004000164/
雑誌「ダヴィンチ」内の短歌投稿コーナーの書籍化第二弾。
毎月決められるテーマのものと、常に募集している自由詠(
自由題)とを、歌人・エッセイスト 穂村弘さんが選評し紹介しています。
一首のなかに表現される詠み手の見た世界、感じた世界。
五・七・五・七・七の五句三十一音と限られた言葉の数だからこそ、言外に想像させるものが多くあることを知りました。
また、読み手によってその詠の捉え方が異なることも、短歌のおもしろさなのだなと思いました。
今回の山陽堂ブック倶楽部では、参加者それぞれが気に入った五首(その中の一首を特選)を事前に教えてもらい、
得票数の多かったものを中心に各人の感想を伝え合う、歌会のような遊びをしたいと思います。(歌をつくることはしません)
僕が五首に挙げようとしている候補のうちの三首はこちら。
正しさが欲しかったから25時赤信号にひとり従う(都季・女・23歳・自由題)
だしぬけに葡萄の種を吐き出せば葡萄の種の影が遅れる(木下龍也・男・24歳・自由題)
あいつらが結婚したということでますます町は小さく見える(ななはる・男・30歳・テーマ:地元)
二首目への穂村さんの講評はこうです。
あまりにも「だしぬけ」だったので、さすがの「影」もついて来られなかった。「影」を出し抜くことは、神様を出し抜くこと。
僕にとって、詠われているそれが説明のつくことや真実であるかはほとんどどうでもよくて、
こうした「片隅でひと知れず起きているできごと」を捉えられる(想像できる)感覚がすてきだなと思いました。
それぞれの短歌について考えたことを早く話したいなと、そんな心持ちです。
それから。
自分でも詠みたくなってしまい、最近はぼそぼそと頭でつぶやきながら、「五七五七七脳」で自転車通勤をしたりしています。
幸い、ただの一首も完成していないので恥をかかずに済んでいます。
◇第18回山陽堂ブック倶楽部(オンライン)
課題本:「短歌ください 明日でイエスは2010才篇」穂村弘・角川文庫
日程:2021年4月27日(火)19時より21時頃まで
参加人数:8名(※残り3名)
申し込方法:sanyodo1891@gmail.com(担当 マンノウ)宛てに「4月山陽堂ブック倶楽部参加希望」と明記の上ご連絡ください。
今日の追伸は「にょっ記もど記 2021年3月」です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
山陽堂書店
萬納 嶺
2021年4月 1日
〈展示作品紹介〉春の安西水丸展⑦ SIS企画展「スノードームのある風景」
2021年3月27日まで開催しておりました春の安西水丸展⑦ SIS企画展「スノードームのある風景」に参加されたイラストレーター10名の作品を紹介致します。(敬称略)
竹中ゆみ子
上路ナオ子
鹿又きょうこ
山本恵未
今野マルコ
山﨑杉夫
右近茜
信濃八太郎
老沼果帆子
笹本聖子