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山陽堂書店メールマガジン【2021年2月18日配信】
みなさま
こんにちは。
オリンピックという言葉を目や耳にしない日はありませんね。
開催の是非についても様々な意見があります。
僕の意見はというと。
「どちらでも構わないけれど、オリンピックより何より優先されるべきことはありますよね?」です。
意見というよりも、思っていることといったニュアンスですね。
オリンピックがもうオリンピックではないということを少しずつ知るにつれ、思ってしまうところもあります。
それでも、サッカーはじめスポーツのことは信じていますが。
さて、本日は書名にオリンピックのあるこちら。
「たった一人のオリンピック」山際淳司・角川書店
https://www.kadokawa.co.jp/product/322006000079/雑誌Numberの創刊号(1980年4月)に掲載された「江夏の21球」で一躍注目されるようになった、
ノンフィクションライター 山際淳司氏の作品の中から五輪にまつわるもので構成された作品集です。
ある日突拍子もなくあることを思いついてしまった23歳の大学生。
表題作「たった一人のオリンピック」は、負けが込んでいた(と本人が思っていた?)自身の人生を変えようと、
「オリンピックに出て金メダルを取ろう」という思いつきを実現するために20代のほぼすべてを賭けた津田真男というボート選手の話。
「たった一人」という言葉の意味が、読み進めていくうちにわかってきます。
なぜ津田真男はその思いつきを自らに課し、挑み続けなければならなかったのか。
誰のための、何のための挑戦で、それは報われたのか
取材を重ねた著者が引き出した本人の言葉とは。
ソフトボール、棒高跳び、バレーボール、マラソン、各種目の選手たちについて「オリンピック」がひとつのキーワードとなって書かれており、
本人とのやり取りや競技に臨むスタイルから著者が視た"その選手の姿"を、読者は著者の言葉で視ることになります。
(「その選手の姿」というよりも「その人の姿」という方が正確かもしれません。)
僕たちが目にするその姿は、オリンピックの本質がなんであったか、それを考えるきっかけになるのではないかと思います。
本書の最後にはノンフィクションライターの石戸諭氏の解説が載っています。
5段落・22ページに渡るこちらもとても読み応えがあり、
特に4段落・281ページにある
「(前略)山際にの筆は時に鮮やかすぎるがゆえに、」から続く内容にはハッとさせられるものがありました。
今日の追伸は「それは人目を忍んでやること。」です。
(木村くん、一度ロシアは置かせてください。)
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
山陽堂書店
萬納 嶺