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2020年9月 3日
山陽堂書店メールマガジン【2020年9月3日配信】
山陽堂書店ではメールマガジン配信しています。
配信をご希望される方は件名に「配信希望」と明記のうえ、
sanyodo1891@gmail.com(担当 マンノウ)までご連絡ください。

山陽堂書店メールマガジン【2020年9月3日配信】

みなさま

こんにちは。
今年の7月、8月は青山善光寺さんでの盆踊りも、神宮の花火大会も、
後輩 ごり男の帰省(について行くこと)もなく、やはりどこか拍子抜けした感があります。
いつか振り返るときに、今年の夏をどのように思い出すかな、なんて思います。

さて、8月31日に5ヶ月ぶりの山陽堂ブック倶楽部(読書会)がありました。
今年2月までは山陽堂書店3階で開催していましたが、事態収束まではオンラインでの開催となりました。
今回課題本としたのがこちら。
「青が破れる」町屋良平(河出文庫)
2020.9.3.1.JPG
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309025247/
2019年に「1R1分34秒」で第160回 芥川賞を受賞した町屋良平さんのデビュー作です。
ボクサーになりきれないボクサー志望の秋吉(おれ)、友達のハルオ、
「もう長くない」ハルオの彼女のとう子、才能ある後輩ボクサーの梅生、夫子もいるが秋吉と関係を持つ夏澄。
4人との交わりのなかで、何者でもなく、何者かになることを恐れているようにも思える秋吉の焦燥感が伝わってくる青春小説です。
秋吉の思考することに苦悩する姿と最後の言葉が印象に残りました
「けっきょくなにかをかんじそうになったら、走るしかないから」(本文より)
心身を埋め尽くしてしまう何かに対して身体で対峙するしか術を知らないその「青さ」は、
自身の経験とも重なるところがありました。
「青が破れる」は、同様に主人公がボクシングをする「1R1分34秒」に繋がる話のようにも思えました。

また、町屋さんは文章の書き方(文体)に特徴がある作家さんとして知られています。
最初は慣れないという意見も聞きますが、2度、3度と作品に触れていくと心地よく感じるようになったり。
物語性だけではなく、そんなところも感じて読んでみて欲しい作品です。
文体は異なりますが、僕は学生のときに町田康さんの「きれぎれ」を読んで、
文字が踊るように感じたことを思い出しました。

と、山陽堂ブック倶楽部(読書会)を経なかったら本の紹介はここまでだったのですが。
31日に参加されたみなさんの感想を聞かせてもらい、新たに気づかされたことがいくつもありました。
自分では3度読んでも気付かなかった恋情の可能性(これには驚いた)、著者が描く女性の特徴、
男同士のコミュニケーションの取り方などなど、話をしながらいろいろな意見や考えが挙がり、
ブック倶楽部の醍醐味を5ヶ月ぶりに思い出しました。
他の読書会がどのようなものかはわかりませんが、山陽堂ブック倶楽部は勉強会ではなく、本の感想を伝え合う読書会です。
気楽に話せる雰囲気を大切にしており、決まりごとはないのですが、いつも最初に伝えていることがふたつだけあります。

一、自分の言葉で話すこと。
どこかで目にした誰かの言葉ではなく、読んだ自分自身が思ったこと感じたことを話すこと。
かっこいいことも、周囲に合わせたこともいう必要はなく、おもしろくなかったら「おもしろくなかった」と、
おもしろかったけれど何がおもしろいのかわからなかったら「わからないけれどおもしろかった」と、
そのままを話してもらう。

二、異なる意見も受け容れてみる。
どんな意見(考え)も一度受け容れて考えてみること。
そのときにわからなくてもブック倶楽部を終えてから反芻してみてわかることがあったりして、
それがまたひとつの快感でもあります。

山陽堂ブック倶楽部始めた経緯や、いま感じていることについてはいつかのメールマガジンで改めて書こうと思います。
ということで、引き続き次回の山陽堂ブック倶楽部のお知らせです。

◇第11回山陽堂ブック倶楽部(オンライン)
日程:9月28日(火)19時より20時30分頃まで
参加人数:8人
※課題本の内容から、今回のみ参加者の男女比を同数となるよう調整させていただきます
参加費:1,000円
申し込方法:sanyodo1891@gmail.com(担当 マンノウ)宛てに「9月山陽堂ブック倶楽部参加希望」と明記の上ご連絡ください。
折り返し当日の参加方法・参加費の支払い方法等をお伝え致します。
オンラインはfacebookのメッセンジャールームを使います
皆さんのメールにルームのアドレスを送りますので、それをクリックすれば簡単にルームに入れます。
条件はパソコンにカメラとマイクがついていることだけです。
facebookのアカウントがなくても大丈夫です。
スマートフォンでもご参加いただけますがパソコンをおすすめ致します。

課題本:「さよなら、俺たち」清田隆之(STAND BOOKS)
2020.9.3.2.JPG
http://stand-books.com/9784909048080/
〈課題本紹介〉
「男性である」というだけで生じている特権と加害性。
それを知ったうえでこれまでの自分の振る舞いを見つめ直すと、何ともお腹が痛くなる。
知らぬ間に傷つけてしまった女性たち...。
著者は1200人以上の女性から問題だと感じる男性の言動について聞いている。
そして、著者自身、自分の問題言動について失敗談とともに書き記す。
ユーモラスに語られるがそれはとても耳に痛い。
ただ、苦しくとも「俺たち」にさよならして、「私」としてその声に向き合う必要がある。

今回の課題本は、特に男性にとっては辛いところのある内容です。
とはいえ、どんどん掘り下げて考えていくと...どうなのでしょうか。
その日集まったみなさんのご意見ご感想が今からとても楽しみです
ただ、ひとつ不安なのが、自身の経験を話していくうちに意気消沈していってしまうのではないかということ。
進行役でもありますので黙り込んでしまわないよう気をつけます。
みなさんのご参加をお待ちしております。

〈3階喫茶営業のお知らせ〉
SNSでも営業日をお知らせしています。
twitter:@sanyodocoffee
instagram:sanyodocoffee
ご入店は閉店の30分前までにお願い致します。
状況により営業日時が変更となることもございますが予めご了承ください。
※変更の場合は当店HPにてお知らせ致します。
山陽堂書店HP:http://sanyodo-shoten.co.jp/


今日の追伸は、「もどきにもなれやしない」です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた来週のメールマガジンで。

山陽堂書店
萬納 嶺

追伸

(今年3月の話)
ブック倶楽部課題本「青が破れる」を読み、合わせて「1R1分34秒」も読み、
ほんの少しだけ自身をボクサーに寄せて当日は参加しようと、減量を試みた。
冬はだいたい3キロ増えるので、今年も増えたその分を当日までの1週間で減らそうと考えた。
週に3、4日のランニングを6日間、距離も倍に。(つらかった)
炭水化物を極端に抜き、食事量も半分に。(ずっとお腹が空いていてちょっとふらっとしたり)
普段はシャワーで済ませるところを湯船に浸かり発汗を促し、それでも水分の摂取は必要最低限に。
(「水を唇に触れさせるにとどめる」を繰り返しながら、何をしているのか自問もした)

最終日(開催予定だったブック倶楽部当日の前夜)。
夜のランニングから帰り、喉が乾いていながらも風呂場に直行し、もう出たいと何度も思いながら我慢し、
体の水分という水分を追い出し、風呂から上がって出てきた水分という水分を拭い、髪の毛を乾かす。
そして迎えた計量のとき。
(勝手に緊張しているが、減量初日から視聴率はずっと0%)
左足から身体を預け、両足が揃い表示された数字は、初日からわずか1.3kg減。
だったら1日絶食するくらいでこれくらいは減らせたのではないか
数度乗り直すも、いくらやっても同じところに落ち着く針が「だからこの体重だってば」と言う。
いくつかを思い知ったいま、とにかくボクサーのみなさまには頭が上がらない。

という話を、先日の山陽堂ブック倶楽部で話しそびれてしまい、
人知れず行われたこの試みがこの世に存在しなかったことになるのはあまりに(自分が)不憫だと、わがままでここに記させていただきました。


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