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2014年9月 7日 更新
「松本大洋+ニコラ・ド・クレシー」玄光社1800円+税
たしか1997年の冬だったと思う。

フランスのアングレームという小さな町で、
僕はニコラ・ド・クレシー氏をはじめて知りました。

毎年1月にその場所で行われる
コミック・フェスティバルには、フランスの国内外から
数多くの作家が集まっていましたが、
その年のアングレームは"新星クレシーの登場"の話題一色で、
ファンも記者も作家陣も皆、彼をとりまき湧いていたように記憶しています。
文字どおり僕には手の届かない存在でした。

当時、僕は『ピンポン』というタイトルの卓球マンガを連載している最中で、
自分なりに、ほんのりとした自信のようなものを抱えての渡仏でしたが、
氏の作品を目の当たりにし、大きな衝撃と共に、
わた雲のようにふわついた自信が
一気に吹き飛ばされたような思いでした。

以来、現在にいたるまで彼は僕のスーパースターなのです。

2014 松本大洋

「松本大洋+ニコラ・ド・クレシー」玄光社『はじめに』より