『ペコロスの母に会いに行く』、この作品は昨年くらいから
新聞などでよく目にはしていた。イッセイ尾形さんの主演でドラマ化もされていた。
そのたびに「ああ、いい本が出ているんだなあ」とは思っていたものの、
自発的に仕入れてみようという行動にまでは移せないでいた。
ところが、今年の7月に2年前に出版関係の集まりでご一緒した
福岡西日本新聞社の末崎さんが山陽堂を訪ねてくださったことで
この本と出合うことができた。
なんと、末崎さんがこの本の担当編集者だったのだ。
とうことで、早速取り寄せた。
先に読んだ妹たちが口をそろえて
「すごくいい本だね」
と言った。
そのとおりだった。
この本は、ちょいぼけの認知症のおばあちゃんと息子の話だけでは
なかった。
夫婦が添いとげるということ。
昭和時代の戦争が残したもの。
家族。
子どものこころ。
母親のきもち。
いろいろなことを思い巡らせた。
詩人の伊藤比呂美さんは
講演先の図書館の壁いちめんに拡大したこのまんが
に目が離せなくなり、講演前にも関わらず丹念に見てまわって
惹きつけられ、心を揺さぶられたという。
「老い果てた女のかわいらしさ。生きることの切なさ」に。
そして著者の岡野さん(ペコロス=小玉ねぎ)にこんな言葉を
送っている。
「わたしは、ペコロスさんに、マンガのおもしろさだけではない、
介護の修羅場を生き抜くものとしての同士のような思いを抱いたのです。
人には人の老い方がある。生き方がある。死に方がある。
そして、人には人の介護のかたちがある、と。」
ギャラリー山陽堂ではでは、西日本新聞社さんのご協力により、
11月13日よりマンガを拡大したパネル展を開催いたします。
マンガの中の「ちょいぼけのみつえおばあちゃん」に
ぜひ会いに来てください。
なんだか、くすっと笑ってしまったります。
お待ちしています。