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2012年6月22日 更新
エーリッヒ・ケストナー『飛ぶ教室』岩波少年文庫714円
『人生、なにを悲しむかではなく、どれくらい深く悲しむかが重要なのだ。
誓ってもいいが、子どもの涙はおとなの涙よりちいさいなんてことはない。
大人の涙よりも重いことだって、いくらでもある。』(飛ぶ教室より)
今から10年くらい前、もう8歳になった娘にこの本を読み聞かせたことがあります。
「もう自分で読めるんだから自分で読んだら。」
と言ったら
「おかあさんに読んでもらうとなんだかちがうんだよ。」
と言われて寝る前に読み聞かせていたものです。
自分で読みながら、この本は大人も読むべき本だと思っていました。

ケストナーはドイツの作家。
この本は、ドイツがナチス政権の手に落ちた80年も前に書かれた本です。
ケストナーは、ナチスにとって好ましくない作家だったので、
図書館の棚からケストナーの作品が引っ込められました。
自分の身が危ぶまれる中、とびっきりのクリスマスプレゼントを
ドイツの子ども達に向けて書き上げました。
それがこの『飛ぶ教室』です。
『世界の歴史には、かしこくない人々が勇気をもち、かしこい人々が臆病だった時代がいくらもあった。これは正しいことではなかった』(飛ぶ教室より)
こんな時代が再び訪れることがないようにという想いを子ども達に伝えるため、
祈るように書かれた一冊だと思います。

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