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2011年2月17日 更新
村上春樹著「雑文集」新潮社1470円

1979-2010 未収録の作品、未発表の文章から著者自身がセレクトした69篇。

デビュー作「風の歌を聴け」受賞の言葉。エルサレム賞スピーチ「壁と卵」。『海辺のカフカ』中国語版に書いた序文。ジャズ、友人、小説について。そして二つの未発表超短編小説。「1995年」の考察、結婚式のお祝いメッセージ。イラスト・解説対談=和田誠・安西水丸

和田誠さんと安西水丸さんの灰色ねずみと黒うさぎの絵がかわいいです。

「ドーナツをかじりながら」の章に

僕が小説を書くひとつの大きな目的は、

物語というひとつの「生き物」を読者と共有し、

その共有性を梃子にして、

心と心ののあいだにパーソナルなトンネルを掘り抜くことにあるからです。

あなたが誰であっても、年齢がいくつでも、どこにいても(東京にいてもソウルにいても)、

そんなことはぜんぜん問題ではありません。

大事なのは、その僕が書いた物語を、

あなたが「自分の物語」としてしっかりと抱きしめてくれるかどうか、

ただそれだけなのです。

とありました。

村上春樹さんの本は世界中で読まれています。

でも、同じ本でも読んだ人の数だけ違った世界が繰り広げられているのだと思うと

自分以外の人の世界ものぞいてみたくなります。