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2020年10月 1日
山陽堂書店メールマガジン【2020年10月1日配信】
山陽堂書店ではメールマガジン配信しています。
配信をご希望される方は件名に「配信希望」と明記のうえ、
sanyodo1891@gmail.com(担当 マンノウ)までご連絡ください。

山陽堂書店メールマガジン【2020年10月1日配信】

みなさま

こんにちは。
10月1日(水)から10月10日(土)まで、
ヤッホーブルーイングさんの「#本にあうビール」企画に参加させていただきます。
(※他の参加書店さんは11日まで。)
この企画は参加書店が3種類(よなよなエール・水曜日のネコ・インドの青鬼)のビールに合う本を紹介するというもの。
3つのうち、アルコール度数が高く、インパクトある苦味とコクを備えた個性派ビール「インドの青鬼」に合わせて僕が紹介したのがこちら。
「砂の女」安部公房(新潮文庫)
2020.10.1.1.JPG
https://www.shinchosha.co.jp/book/112115/
砂丘へ昆虫採集に出かけた主人公の男性が帰りのバスを逃し、
一泊だけ世話になろうと老人に連れられて入った砂穴の中の一軒家
そこには女がひとり。
翌日、男はこの砂穴に閉じ込められたことを知る。
あらゆる手段で脱出を試みるも、穴の上から男を妨害する部落の人々、
そしてひきとめようとする女。
昼夜問わず砂の降り続けるその家で、「家を守る」ためにその使命を受け容れている女と、
ただひたすらに砂を掻くことになる男の行く末は...

男の口や体のあらゆる部位に砂がざらついている描写や、
男が精神的にも砂に埋もれていくその様子に、強烈な喉の渇きを覚えます。
「砂の女」片手に「インドの青鬼」で重たいひと口を。

期間中の山陽堂珈琲営業日(10月1・2・3・7・8・10日)には上記3種類のビールもご注文いただけます。
(各種600円での提供となります)
よなよなエールには「生きていてもいいかしら日記」北大路公子(PHP文庫)
水曜日のネコには「今日のがっちゃん」え 平澤一平 さく 益田ミリ(ミシマ社)を合わせて紹介しています。


〈今週のおすすめ本〉
『乳房』伊集院静(文春文庫)
2020.10.1.3.JPG
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167546120
とにかく〝カッコいい"のである。
主人公の男性は男の弱さも甘えもズルさも持ち合わせていながら
伊集院氏の手にかかると見事なまでに魅力的な男性に仕上がる。
「完璧な奴なんてつまんないよ」そんな気持ちにさせる短編集。
(山陽堂書店 林)


〈山陽堂珈琲 今週・来週の営業日〉
10月1日(木)13〜19時
10月2日(金)13〜19時
10月3日(土)11〜17時
10月7日(水)13〜19時
10月8日(木)13〜19時
10月9日(金)お休み
10月10日(土)11〜17時
SNSでも営業日をお知らせしています。
twitter:@sanyodocoffee
instagram:sanyodocoffee
ご入店は閉店の30分前までにお願い致します。
状況により営業日時が変更となることもございますが予めご了承ください。
※変更の場合は当店HPにてお知らせ致します。
山陽堂書店HP:http://sanyodo-shoten.co.jp/

今日の追伸は、「砂の団子」です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた来週のメールマガジンで。

山陽堂書店
萬納 嶺


追伸

8月の日曜日。
今年3月までサッカーのコーチをしていたチームが、
中止になってしまった夏合宿の代わりに浜辺のある都内の公園に遊びにいくとのことで、「来ませんか?」と連絡をいただいた。
活動休止中にチームを離れることになってしまい子どもたちに何も言わないままになってしまっていたので、
挨拶がてら午後から遊びに行かせてもらうことにした。
公園に着くと午前中アスレチックで遊んできた彼らは昼食中。
反応を期待しながら「久しぶり!」と声をかけると、「なんだ、まんのコーチじゃん」という声が挙がった。
「日本代表の選手がくるかもしれないよと伝えてたんですよ」と、コーチ。
彼らはがっかりするわ、こちらも何か申し訳ないわで、久しぶりの再会はいたたまれない状況から始まった。

昼食が済むとみんなは一斉に浜辺へと駆け出した。
膝までしか入ってはいけないという浜辺公園のルールのもと、
水遊びを楽しむ子もいれば、砂を掘って水路をつくったり、貝(とかゴミ的なサムシング)を集めたり、
いくつか遊びをローテーションしながら楽しんでいるなか、
ひたすら砂団子をつくっている子がひとりいた。
浜辺遊びが始まってしばらく経ったころ、その子が「これ」と見せてきた砂団子が、
あまりにも「丸」くて思わず「綺麗」と言葉が漏れてしまい、しばらく見惚れてしまった。
その手でつくられたことがにわかには信じられなくて、
「あーこれはすごいな、本当にすごいよこれは、美味しそうだし」と何度も感動を伝えていると、
何人か集まってきて彼らも競って砂団子をつくり始めた。
「ここの砂でつくるといいよ!」などと声をあげながら熱心に取り組み始めたと思ったら、
彼らは「はいこれ!」と、砂団子をこちらに手渡してすぐに他の遊びに移っていった。
それからもひとりだけは、浜辺での遊び時間が終わるまで、ひとつの団子を丸め続けていた。

その後、「持って帰る」とその子がビニール袋に入れていた砂団子は次の遊び場への移動中に壊れてしまったようで、
ふたつに割れたそれを見て僕は思ってしまったところがあったけれど、本人は意外と淡々としていた。

その子は忘れてしまうかもしれないけれど、団子のことは自分がずっと覚えていようと思っている。
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