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2020年9月24日
山陽堂書店メールマガジン【2020年9月24日配信】
山陽堂書店ではメールマガジン配信しています。
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sanyodo1891@gmail.com(担当 マンノウ)までご連絡ください。

山陽堂書店メールマガジン【2020年9月24日配信】


みなさん

こんにちは。

今日紹介する本はこちら。
「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」内田洋子(方丈社)

2020.9.24.1.JPG

https://hojosha.co.jp/menu/591906
籠いっぱいの本を担いで、イタリアじゅうを旅した行商人たちがいただなんて。
そのおかげで各地に書店が生まれ、〈読むということ〉が広まったのだと知った。(本文より)


はじまりはヴェネツィアの古書店にて。
著者はその店の棚揃えに感嘆し、店主に修業先を尋ねたところ「代々、本の行商人でしたので」という答えが返ってきます。
店主のルーツはイタリア トスカーナ州にあるモンテレッジォという山村にあるとのこと。
その村の人たちが、かつて何世紀にも亘り本の行商を生業としてしていたことを知った著者は、
「矢も盾もたまらず」その足跡を辿りはじめます。
何度も村に出向き、村を離れた子孫たちを訪ね、
関連書籍だけでなく当時の行商人の発注書や家族写真といったものにまで目を通します。

他愛ない領収書や売り上げの一覧の隙間から、過去に伸びる根を手繰り寄せ、
何世代にも亘る、名もなき行商人たちの物語を拾い上げて紹介していかなければ......。(本文より)

描写されている、山と積まれた資料の数々。
それを読みこんでいく作業がどれほどエネルギーの要るものか。
(僕は何年もらっても読み込めない気がします...)
著者が見聞きしながら紐解かれていく行商人たちのその足跡。
生きていくために本を担いで旅に出た村人たちが、結果的に担った文化的な役割やその功績。
僕も本に携わる身として、もっと努めなければと省み、大きな励みにもなりました。
それにしても、著者である内田さんのこれほどの情熱はどこから湧いてくるのでしょうか。
読み進めながらその点にも気が向いていました。
本の「はじめに」にも「何かに取り憑かれたように、一生懸命に書いた。」という一文。
その動機(情熱の源泉)について書かれたわけではないのですが、本文中にあった言葉をひとつ。
1952
年に行商人や各地で書店を開いていた村人たちが集い〈本屋週間〉が開催され、
世界各地から作家や出版人も集まったそうで、参加した作家のひとりが村の本屋たちに述べた謝意の中の言葉です
「(前略)〈世の中に自分の信じるものを届けたい〉。村人にとって、それが本だった。(後略)」

内田洋子さんはいま、コロナ禍のイタリアで若者たちが綴った日々の記録『デカメロン2020を書籍化するプロジェクトを進めています。
自分たちの身に起きたこと、感じたこと。
過ぎ去ったそのときに「あのときのこと」を風化させることなく、未来に伝えていくための本です。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://motion-gallery.net/projects/decameron2020
山陽堂書店もこのプロジェクトを応援しています。

〈マグカップ第2弾発売〉
和田誠さんデザインによる山陽堂書店のブックカバーから生まれたオリジナルマグカップ。
2弾は「キング&クイーン」です。

IMG_2865.JPG

店頭または郵送での販売も承っています。
マグカップのサイズや郵送でのご購入方法について詳しくはこちらをご覧ください。
http://sanyodo-shoten.co.jp/news/2020/09/-1.html


〈山陽堂珈琲 来週の営業日〉
10
1日(木)1319
10
2日(金)1319
10
3日(土)1117
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ご入店は閉店の30分前までにお願い致します。
状況により営業日時が変更となることもございますが予めご了承ください。
※変更の場合は当店HPにてお知らせ致します。
山陽堂書店HPhttp://sanyodo-shoten.co.jp/

今日の追伸は、「気に入りを誂える」です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた来週のメールマガジンで。

山陽堂書店
萬納 嶺


追伸

一昨年から暮らしているまちにおじさんがひとりで営んでいる服屋があり、
年に一度そこでスーツを誂えてもらうことが大きな楽しみのひとつになっている。
(意外にも、オーダーメイドの方がブランドものの既製品を買うよりよっぽどお手頃だったりする。縫製はたしか鳥取の工場だったか。)
一昨年は夏物のスーツ、昨年は秋冬物のジャケット、そして今回は来年の夏用スーツを作ることした。
希望する色(色味)や求めるシルエット、ニュアンスを、持参した写真と抽象的な言葉も交えながら伝えると、
おじさんが生地見本のなかから数種類を候補として挙げてくれる。
そこに自分が気になったいくつかを加え、並べて見比べながら、
それぞれの生地の性質や仕立てたときのイメージなどを聞かせてもらっていうるちに、
話はおじさんが最近ハマってるという低温調理器で作ったローストビーフやクリームブリュレのことに移り、
自宅で使っているこだわりのグラスの話から「日常」で飲むお酒の質の話になり、
こちらも走るという行為に対し自分が求めていることについてだったり、
おじさんが知る由もない友だちの話なんかをしながら、思い出したように生地の話に戻ったりと、スーツのまわりを行ったり来たり。
候補に挙げてもらった生地は主にイタリア製で、訊くとイタリアの生地はやはり良質とのこと。
僕が最近読んだ本の行商人たちのことが書かれた本を引き合いに出しながら、
その本で感じたイタリア人の気骨と、一般的にイメージされている国民性や他の方のエッセイなんかに書かれているイタリア人とうまく結びつかないと話すと、
「うーんそうだなぁ、良い仕事はしてくれるけど納期に間に合ってなくてもバカンスには行っちゃったりするしなぁ。そうだねぇ、イタリア人ねぇ」とおじさん。
そこからまた話は広がり、イタリアで良質な生地が生まれた背景や歴史について教えてもらったりと、気付けば2時間近くお店で過ごしてしまった。
案の定(だいたい毎回そうなのだけれど)いろいろな話を聞いているうちに、生地を決めることに気が向かず、
改めて次の週末に出直すことになった。
今度行ったときにはまず生地を、そしてそれからボタンやポケットの仕様を決めて採寸と、
ことを進めていかねばスーツがいつまでも出来上がらないのだけれど、
「誂えてもらう」ということは周辺のこれらを含めていうのだろうか。

であるならば、誂えてもらうことは何て贅沢な行為だろう。

2020年9月17日
山陽堂書店メールマガジン【2020年9月17日配信】
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山陽堂書店メールマガジン【2020年9月17日配信】

みなさま

こんにちは。

山陽堂書店のことを「おしゃべり本屋」と言い始めたのは、
ちょくちょくうちの店に寄るようになった高校・大学時代の同級生たちでした。
たしかに、山陽堂書店員はおしゃべり好きなようで。
レジ前でお客様や出版社の方などと山陽堂書店員とが話し込んでいる光景は日常茶飯時。
狭い店なので自分たちのおしゃべりが他のお客様のご迷惑にならないようにと申し合わせていますが、
状況が許すとおしゃべりはなかなか止まりません。
地下(事務所)から人が次々と湧いて出てきて、「いつの間にかおばさんに取り囲まれている」なんて事態もしばしば。
学生時代に同級生たちを連れ立ってお店に寄ったときに彼らもそんな光景を目にしていたのか、
あるいは彼ら自身もその光景の側に居ることに気づいたのか。
いつしか「おまえん家の本屋」から「おしゃべり本屋」と言われるようになりました。
そんなことを思い出して、最近再読した本がこちら。

「しゃべれども しゃべれども」佐藤多佳子・新潮文庫
2020.9.17.JPG
https://www.shinchosha.co.jp/book/123731/

大学生の時だったか一度読み、主人公が語る言葉の小気味好さがおもしろかった印象に残っていました。
そのとき感じたおもしろさはそのまま、約10年ぶりの今回は登場人物たちの個性にも魅かれました。

主人公の今昔亭三つ葉は真っ正直で頑固で短気な二ツ目の噺家(落語家)。
性格もあってか、ちょっとしたスランプに陥っています。
そんな折り、ひょんなことから「しゃべる」ことについて何かしらの問題に直面している4人に落語を教えることになり、
と、続けてあらすじを書いていこうと思ったのですが、
僕が語るよりも今昔亭三つ葉さん自身が本文のなかで語っている言葉の方がはるかに小気味好く(そりゃそうだ)、
「さん」付けしているくらいなので、もう生身の人間としてお会いしたことがあるくらいの気持ちでもあり、
ここで本の内容について説明するよりも、
みなさんもどうぞ三つ葉さんと落語を習うことになった4人の頑固さや、不器用さや、"不細工な美学"と、
それゆえの悩みや葛藤に思いを寄せながら(共感しないまでも)応援してやってください」という心持ちです。
まったく内容紹介になっていませんが、お許しください。

あらすじの代わりにといってはなんですが、印象に残った場面のひとつを。
登場人物のひとり 元プロ野球選手の湯河原が、テニススクールでコーチをすることに悩んでいる気弱な性格の綾丸(大学生)に、
選手としての綾丸がどれほどだったかを尋ねたあとの場面。

「君には殺気がないよ。綾丸くん。スポーツで勝つには殺気が必要なんだ。(後略)」
「そ、それは昔から言われていて...」
だから綾丸は早くからコーチを目指したのだ、そしてそれにも挫折したのだ、と続く部分を湯河原はもちろん知らなかった。(本文より)

僕は高校3年の夏に競技としてのサッカーから離れたのですが、
選手(競技者)としての自分自身を振り返り、圧倒的に足りなかったと思った部分はまさにそれでした。
競技者として重要な要素である闘争心(湯河原のいうところの"殺気")というものが、僕にはあまりありませんでした。
その後、大学生になり小学生・中学生にサッカーを教えるようになってから生じた悩みも、そのことによるものでした。
「競技者になれなかった(なりきれなかった)自分がサッカーを教えてもいいのだろうか?」
教えていたチーム(自分もOB)は競技志向だったので、
方針に即し、また自分自身もそうすべきだと考えていたので、
競技としてのサッカーを教えてはいましたが、
「でも、サッカーがすべてではないよ」という思いも言外で伝えていたように思います。
競技者たりえなかった自分だからそんな風に思ってしまうのではないか?
競技として向き合うこと以外を伝えてもよいものか?
チーム全体としてみたときにはダメかもしれないけれど、
子どもたちひとりひとりをみたときには、伝えてもよいといえる場面はたしかにあったようにも思います。
その立場を離れたいまもなお、ときどき考えてしまうことです。
紹介した本とは関係のないところでおしゃべりが過ぎました。

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今日の追伸は、「おしゃべり本屋」です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた来週のメールマガジンで。

山陽堂書店
萬納 嶺

追伸

よくしゃべる家族に囲まれて育ったためか、いつからか、特に家族の前ではあまり話さないようになった。
「この人たち本当によくしゃべるなぁ...」と、ひとつ距離をもってみている自分がいる。
おしゃべりな女系家族のなかで育った男子がそうなることは必然だったのかもしれない。
と思っていたのだけれど、そうではなかったということが最近になってわかったという話。

先日、手紙を書いていたときのこと。
葉書に文章をしたため宛名を書く段になったところで、切手を貼る余地がないことに気づいた。
よく見れば切手を貼れないだけではなく、相手の住所と名前を書くことさえもできない。
葉書いっぱいに書かれている文字を見て、
「なんてうるさいんだ...」と思い、もしや自分はおしゃべりなのかと自問した。
顧みると思い当たる出来事がいくつか浮かんだ。

訊きたいことがあって電話したものの、世間話をしているうちに質問事項を忘れてしまい、
「すいません」と謝って一度電話を切り、行動ごと遡って質問を思い出してから電話をかけ直したこと。
(これは結構みんなもやってると思う)
メールへの返信に近況報告や冗談を書き連ねた結果、肝心の要件について回答しそびれ、慌てて再度メールを送ったこと。
(ひと仕事終えたような心持ちで一つ目を送っているあたり、救いが少ない)
山陽堂珈琲では。
螺旋階段を降りていくお客様の姿を見送り「楽しい話を聞かせてもらったなぁ」と、
話した内容を反芻してからようやく、珈琲代をもらいそびれたことに気づいたり。(気づかないことまであったり...)
この事象は過去複数回起きており、どなたも後で支払いにきてくださったものの、
階段の上り下り含めお客様にも迷惑をかけ、商人として(というか社会人として)もこれはいかんと反省し、
いまこのような事象は起きていない(はず)。
それとは逆に。
馴染みのお店でのお会計時にする店員さんとのおしゃべりが高じた結果、
おつりか領収書か商品か、いずれかを忘れることが幾度も。
(一度だけそのすべてを忘れて店を出たときには、「おまえ、それはないだろう」と自分でも思った)

ざっと振り返っただけで出てくるこういった出来事から推し測るに
おそらくは、たぶん、自覚はなくとも、そして何より認めたくないものの、
「あぁ、自分はおしゃべりなんだな」と思い至った。
(目につくその他諸問題については、一度で受け止めきれないのでまたの機会に)
そんなことまで継承しているつもりはなかったけれど、
少なくとも僕が携わっている限りにおいては、図らずも「おしゃべり本屋」として続くことになった。

2020年9月10日
山陽堂書店メールマガジン【2020年9月10日配信】
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山陽堂書店メールマガジン【2020年9月10日配信】

みなさま


こんにちは。

ある日の喫茶営業日のこと。
窓側のカウンターに座っていた若い男の子のグラスに水を注ぎ足しにいくと、
「あの、ぼく役者に興味があって」と男の子が言いました。
熱心に本を読んでいる様子だったのですが、
手前のカウンターに座っていた友人と僕の会話が聞こえていたようです。
トイレから戻ってきた友人にそれを伝えると、じゃあこっちで一緒に話をしようよと、
男の子を手前のカウンターに誘いました。
3人でする会話のなかで「そういえば最近これ読んでおもしろかったよ」と僕が男の子に紹介したのがこの本でした。
「拾われた男」松尾諭(文藝春秋)
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https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163911519
個性派俳優として数々の映画・ドラマに出演されている松尾諭さんの「自伝風」エッセイ。
もともと文春オンラインで連載されていたものが書籍化されました
エッセイは「小学生」時代や「大学生」時代の話が導入部として書かれ、
それが役者として不遇時代の話や失恋話に繋がっていくという書き方もまたおもしろく感じました。
うまくいくことなんてほとんどないけれど、まぁどうにかなるもんか、なんてことを読み終えて思いました。
表紙に描かれている道をよく見ると、おば2や僕が美容院さんへの本の配達でママチャリに乗りながら通る道でした。
偶然拾った航空券が縁で所属した事務所は北青山にあった(ある)と書かれているので、
青山のどこかですれ違っていることがあるかもしれません。

それからもうひとつ、読んでいて頭に浮かんだ人のことを。
書かれるエピソードの、特に前半は多くが切なかったり悲しかったりするのですが、
文章から伝わる松尾さんの人柄から「時間かかっても最後には幸せになりそうな人だな」と感じていました。
そして「この匂い、どっかでいつも感じているな(嗅いでいるな)」と考えてみたところ、
思いあたったのは我らが後輩 ごり男でした。
ごり男への僕の思いというものは多少歪んでもいるので、「幸せになりそうだな」と優しく思っているのか、
「時間かけちゃってくれよな」といたずらに思っているのか、そこはなんとも言えませんが。
(今夏遊びにいくことが叶わなかった東尾道 ごり男の実家から、先日いちじくが届きました。)

〈今週のおすすめ本〉
今週は2度目のご登場、前回『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』鈴木純著
紹介してくださった雷鳥社の林さんにおすすめの本を紹介したいただきます。

「おいしい時間」高橋みどり(アノニマスタジオ)
2020.9.10.2.JPG
https://www.anonima-studio.com/books/craft/delicious-time/
私は、高橋みどりさんの本を長いこと読み続けています。
20代の頃に「ひさしぶりの引越し」(メディアファクトリー)という本に出会い、
今でも時々本棚から引っ張り出しては読み、大切にしています。
この本を手に取ったのは、一人暮らしをはじめた時期。
おいしいご飯を気負わずに作って食べること、素朴でかっこいい器を大切に使うこと、
センスが良くてどこか気軽な片付けのセオリーを持っていること、そして生活に香りを取り入れていること。
こうした、気持ちよく筋の通った生活に、自分の「ものさし」を持つ大人ってかっこいいと、憧れの気持ちを抱きました。
「くいしんぼう」「好きな理由」「ヨーガンレールの社員食堂」「酒のさかな」「私の好きな料理の本」などのご著書のほかにも、
「クウネル」などの雑誌で高橋さんのお名前を見つけるとすかさず買って読みました。
それから何年も経って、私は雷鳥社に入社。
2019年に山陽堂書店さんで「雷鳥社の本まつり」という無謀な(?)イベントを開催。
店番をしていたら高橋みどりさんが来店されました。
とても驚いて、ただにこにこすることしかできなかったけれど、
高橋さんのまわりには軽やかな気持ちのいい風が吹いているように感じられて、
たとえ、ご著書を読んでいなかったとしても、好きになってしまっただろうと思いました。
高橋さんの最新刊「おいしい時間」(アノニマ・スタジオ)は、大判でとても大らかな本です。
ずっと読めずにいて、先日夜中に、ゆっくりと読みました。
20代の頃と今は全く違う世の中だけれど、高橋さんの筋の通った生活は変わらず続いていて、
私は背筋が伸びました。(雷鳥社 林由梨)

雷鳥社さんには2階・3階を使って「雷鳥社の本まつり」を開催していただき、
平成最後の企画として山陽堂書店も大いに楽しませてもらいました
期間中は2階に居られることが多かった林さんに、かような出来事があったとは。
時間を経てからこうして聞かせてもらうというのも、嬉しいものですね。


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今日の追伸は、「なんか、いい感じ」です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた来週のメールマガジンで。

山陽堂書店
萬納 嶺

窓側のカウンターで熱心に読書していたと思っていた男の子に、僕らの会話は聴こえていたらしい。
トイレから戻ってきた友人に伝えると、友人は「そうなの?じゃあこっちで一緒に話そうよ」と誘い、
男の子は恐縮しながら友人の隣に座った。
訊くと男の子はまだ20歳になったばかりの大学生。
役者に興味があるけれど、何からどう始めれば良いのかわからず、
とりあえず青山にある芸能事務所でインターンのアルバイトを申し込んできて、その帰りだという。
男の子と10ほど歳の離れた友人は話を聞きながら「僕もそうだったなぁ、まずどうすればいいのかがわからなかった」と言って、
大学時代は毎月新潟から東京のレッスンに通っていたことや、大学卒業後に上京して養成所に入ったこと、
養成所卒業の段に縁あって所属事務所が決まったことなどを話した
他のお客様が来たところで僕はふたりから外れたけれど、その後も友人は熱心に男の子の話を聞き、話をしていた。

友人がどれほど活躍しているのかを僕はよく知らない。
ただ、母やおばは友人をテレビで見かけると逐一報告してくるので、その報告の頻度からして、役者で食えてはいるのだと思う。
街で声をかけられることなんてないよと友人は言うけれど、どうだろう。

「何かあったらいつでも連絡してよ」と言って、友人は男の子に連絡先を伝えている。
こういう奴だからあのとき友だちになったんだなぁと、僕は思う。

出会ったときはお互いに卒業間近の大学生だった。
お互い詳しく話すことはしなかったけれど、どうやらどちらもこのまま就職するわけではないことはわかった。
ほとんど何も聞かないまま、ただ絶対にそうした方がいいと思ったので「きみは東京に出てきた方がいいよ」と伝えたら、
春から上京する予定なんだと言ったので、まぁそういうことなのだろうと思い(というより安心し)、
それ以上そのことについて話すことはしないまま他愛のない会話に終始し、「またいつかね」と言って空港で別れた。
「なんか、いい感じの奴」
それが彼の印象だった。

その後、彼が上京するタイミングで僕が東京を離れたこともあり、
6、7年連絡を取り合うこともなかったのだけれど、
きっかけあってまた会うようになり、いまの仲に至る。
不思議なものだなぁと思う。

活躍するようになってからも前から知っている彼だということがおもしろかったのと、
半年ぶりに会った嬉しさもあって、とても野暮だと思いつつ帰り際に言ってしまった。
「なんか、いい感じだな」
はははと笑って「またくるよー」と言って螺旋階段をおりていく友人。
「また来んのかー」とマスクの下で僕もひそりと笑ってしまった。
2020年9月 8日
第11回 山陽堂ブック倶楽部「さよなら、俺たち」
◇第11回山陽堂ブック倶楽部(オンライン)
日程:9月29日(火)19時より20時30分頃まで
参加人数:8人
※課題本の内容から、今回のみ参加者の男女比を同数となるよう調整させていただきます
参加費:1,000円
申し込方法:sanyodo1891@gmail.com(担当 マンノウ)宛てに「9月山陽堂ブック倶楽部参加希望」と明記の上ご連絡ください。
折り返し当日の参加方法・参加費の支払い方法等をお伝え致します。
オンラインはfacebookのメッセンジャールームを使います
皆さんのメールにルームのアドレスを送りますので、それをクリックすれば簡単にルームに入れます。
条件はパソコンにカメラとマイクがついていることだけです。
facebookのアカウントがなくても大丈夫です。
スマートフォンでもご参加いただけますがパソコンをおすすめ致します。
課題本:「さよなら、俺たち」清田隆之(STAND BOOKS)
2020.9.3.2.JPG
http://stand-books.com/9784909048080/


〈課題本紹介〉
「男性である」というだけで生じている特権と加害性。
それを知ったうえでこれまでの自分の振る舞いを見つめ直すと、何ともお腹が痛くなる。
知らぬ間に傷つけてしまった女性たち...。
著者は1200人以上の女性から問題だと感じる男性の言動について聞いている。
そして、著者自身、自分の問題言動について失敗談とともに書き記す。
ユーモラスに語られるがそれはとても耳に痛い。
ただ、苦しくとも「俺たち」にさよならして、「私」としてその声に向き合う必要がある。

今回の課題本は、特に男性にとっては辛いところのある内容です。
とはいえ、どんどん掘り下げて考えていくと...どうなのでしょうか。
その日集まったみなさんのご意見ご感想が今からとても楽しみです
ただ、ひとつ不安なのが、自身の経験を話していくうちに意気消沈していってしまうのではないかということ。
進行役でもありますので黙り込んでしまわないよう気をつけます。
みなさんのご参加をお待ちしております。

山陽堂書店
萬納 嶺

山陽堂ブック倶楽部 2020年 9月.jpg

2020年9月 3日
山陽堂書店メールマガジン【2020年9月3日配信】
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山陽堂書店メールマガジン【2020年9月3日配信】

みなさま

こんにちは。
今年の7月、8月は青山善光寺さんでの盆踊りも、神宮の花火大会も、
後輩 ごり男の帰省(について行くこと)もなく、やはりどこか拍子抜けした感があります。
いつか振り返るときに、今年の夏をどのように思い出すかな、なんて思います。

さて、8月31日に5ヶ月ぶりの山陽堂ブック倶楽部(読書会)がありました。
今年2月までは山陽堂書店3階で開催していましたが、事態収束まではオンラインでの開催となりました。
今回課題本としたのがこちら。
「青が破れる」町屋良平(河出文庫)
2020.9.3.1.JPG
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309025247/
2019年に「1R1分34秒」で第160回 芥川賞を受賞した町屋良平さんのデビュー作です。
ボクサーになりきれないボクサー志望の秋吉(おれ)、友達のハルオ、
「もう長くない」ハルオの彼女のとう子、才能ある後輩ボクサーの梅生、夫子もいるが秋吉と関係を持つ夏澄。
4人との交わりのなかで、何者でもなく、何者かになることを恐れているようにも思える秋吉の焦燥感が伝わってくる青春小説です。
秋吉の思考することに苦悩する姿と最後の言葉が印象に残りました
「けっきょくなにかをかんじそうになったら、走るしかないから」(本文より)
心身を埋め尽くしてしまう何かに対して身体で対峙するしか術を知らないその「青さ」は、
自身の経験とも重なるところがありました。
「青が破れる」は、同様に主人公がボクシングをする「1R1分34秒」に繋がる話のようにも思えました。

また、町屋さんは文章の書き方(文体)に特徴がある作家さんとして知られています。
最初は慣れないという意見も聞きますが、2度、3度と作品に触れていくと心地よく感じるようになったり。
物語性だけではなく、そんなところも感じて読んでみて欲しい作品です。
文体は異なりますが、僕は学生のときに町田康さんの「きれぎれ」を読んで、
文字が踊るように感じたことを思い出しました。

と、山陽堂ブック倶楽部(読書会)を経なかったら本の紹介はここまでだったのですが。
31日に参加されたみなさんの感想を聞かせてもらい、新たに気づかされたことがいくつもありました。
自分では3度読んでも気付かなかった恋情の可能性(これには驚いた)、著者が描く女性の特徴、
男同士のコミュニケーションの取り方などなど、話をしながらいろいろな意見や考えが挙がり、
ブック倶楽部の醍醐味を5ヶ月ぶりに思い出しました。
他の読書会がどのようなものかはわかりませんが、山陽堂ブック倶楽部は勉強会ではなく、本の感想を伝え合う読書会です。
気楽に話せる雰囲気を大切にしており、決まりごとはないのですが、いつも最初に伝えていることがふたつだけあります。

一、自分の言葉で話すこと。
どこかで目にした誰かの言葉ではなく、読んだ自分自身が思ったこと感じたことを話すこと。
かっこいいことも、周囲に合わせたこともいう必要はなく、おもしろくなかったら「おもしろくなかった」と、
おもしろかったけれど何がおもしろいのかわからなかったら「わからないけれどおもしろかった」と、
そのままを話してもらう。

二、異なる意見も受け容れてみる。
どんな意見(考え)も一度受け容れて考えてみること。
そのときにわからなくてもブック倶楽部を終えてから反芻してみてわかることがあったりして、
それがまたひとつの快感でもあります。

山陽堂ブック倶楽部始めた経緯や、いま感じていることについてはいつかのメールマガジンで改めて書こうと思います。
ということで、引き続き次回の山陽堂ブック倶楽部のお知らせです。

◇第11回山陽堂ブック倶楽部(オンライン)
日程:9月28日(火)19時より20時30分頃まで
参加人数:8人
※課題本の内容から、今回のみ参加者の男女比を同数となるよう調整させていただきます
参加費:1,000円
申し込方法:sanyodo1891@gmail.com(担当 マンノウ)宛てに「9月山陽堂ブック倶楽部参加希望」と明記の上ご連絡ください。
折り返し当日の参加方法・参加費の支払い方法等をお伝え致します。
オンラインはfacebookのメッセンジャールームを使います
皆さんのメールにルームのアドレスを送りますので、それをクリックすれば簡単にルームに入れます。
条件はパソコンにカメラとマイクがついていることだけです。
facebookのアカウントがなくても大丈夫です。
スマートフォンでもご参加いただけますがパソコンをおすすめ致します。

課題本:「さよなら、俺たち」清田隆之(STAND BOOKS)
2020.9.3.2.JPG
http://stand-books.com/9784909048080/
〈課題本紹介〉
「男性である」というだけで生じている特権と加害性。
それを知ったうえでこれまでの自分の振る舞いを見つめ直すと、何ともお腹が痛くなる。
知らぬ間に傷つけてしまった女性たち...。
著者は1200人以上の女性から問題だと感じる男性の言動について聞いている。
そして、著者自身、自分の問題言動について失敗談とともに書き記す。
ユーモラスに語られるがそれはとても耳に痛い。
ただ、苦しくとも「俺たち」にさよならして、「私」としてその声に向き合う必要がある。

今回の課題本は、特に男性にとっては辛いところのある内容です。
とはいえ、どんどん掘り下げて考えていくと...どうなのでしょうか。
その日集まったみなさんのご意見ご感想が今からとても楽しみです
ただ、ひとつ不安なのが、自身の経験を話していくうちに意気消沈していってしまうのではないかということ。
進行役でもありますので黙り込んでしまわないよう気をつけます。
みなさんのご参加をお待ちしております。

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今日の追伸は、「もどきにもなれやしない」です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた来週のメールマガジンで。

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萬納 嶺

追伸

(今年3月の話)
ブック倶楽部課題本「青が破れる」を読み、合わせて「1R1分34秒」も読み、
ほんの少しだけ自身をボクサーに寄せて当日は参加しようと、減量を試みた。
冬はだいたい3キロ増えるので、今年も増えたその分を当日までの1週間で減らそうと考えた。
週に3、4日のランニングを6日間、距離も倍に。(つらかった)
炭水化物を極端に抜き、食事量も半分に。(ずっとお腹が空いていてちょっとふらっとしたり)
普段はシャワーで済ませるところを湯船に浸かり発汗を促し、それでも水分の摂取は必要最低限に。
(「水を唇に触れさせるにとどめる」を繰り返しながら、何をしているのか自問もした)

最終日(開催予定だったブック倶楽部当日の前夜)。
夜のランニングから帰り、喉が乾いていながらも風呂場に直行し、もう出たいと何度も思いながら我慢し、
体の水分という水分を追い出し、風呂から上がって出てきた水分という水分を拭い、髪の毛を乾かす。
そして迎えた計量のとき。
(勝手に緊張しているが、減量初日から視聴率はずっと0%)
左足から身体を預け、両足が揃い表示された数字は、初日からわずか1.3kg減。
だったら1日絶食するくらいでこれくらいは減らせたのではないか
数度乗り直すも、いくらやっても同じところに落ち着く針が「だからこの体重だってば」と言う。
いくつかを思い知ったいま、とにかくボクサーのみなさまには頭が上がらない。

という話を、先日の山陽堂ブック倶楽部で話しそびれてしまい、
人知れず行われたこの試みがこの世に存在しなかったことになるのはあまりに(自分が)不憫だと、わがままでここに記させていただきました。


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