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2020年8月 5日
山陽堂書店メールマガジン【2020年8月5日配信】春風亭昇羊さん
山陽堂書店ではメールマガジン配信しています。
配信をご希望される方は件名に「配信希望」と明記のうえ、
sanyodo1891@gmail.com(担当 マンノウ)までご連絡ください。

山陽堂書店メールマガジン【2020年8月5日配信】

みなさま

こんにちは。
今週は3日・5日・7日に渡り、噺家のみなさんからご寄稿いただいたものを配信致します。
本日は春風亭昇羊さんです。
以前新宿末廣亭で出演された際、当時世間を賑わせた芸能人の不倫騒動についてマクラで話されていました。
(※「マクラ」とは演目の話に入る前に話される世間話や小噺)
おそらく多くの人が多少なりとも抱いた「あの記者会見」について思うところを、
昇羊さんがあんまり楽しそうに話すので、会場中が笑わされました。

〈春風亭昇羊さんプロフィール〉
image1 のコピー.jpeg
1991年 神奈川県出身
2012年 春風亭昇太に入門
2016年 二ツ目昇進

〈噺家になられた経緯〉
打ち上げの席などでお客様と話をさせていただくとき「どうして落語家になろうと思ったのですか」とよく聞かれます。
私は聞かれる度に「高校を出てなんとなくフラフラしてたときにたまたま落語を見て、
座布団に座ってなんでもできるなんてとても素晴らしい仕事だと思い、それで決めました」と答えるようにしています。
たまに「勘ですかね」の一言で済ませることもあります。
寧ろ、「勘ですかね」の方が私にとってはしっくりくる理由だったりします。
ただ「勘ですかね」と言うと、「俺の質問を蔑ろにされた。こいつの落語会には二度と足を運ばない」とか、
「社交性のないやつだ。だから友達が少ないんだ」と思われるおそれがあります。
また実際「え、勘?なんすかそれ?そんなんでよく噺家になれましたね」と言いたそうな目で見てくる人もいます。
なので私は「勘ですかね」とは極力言わないようにしておりますが、本当のところを申し上げますと、やはり勘なのです。
春風亭昇羊

〈おすすめ本〉
「くっすん大黒」町田康(文春文庫)
私は噺家になるまでの間、中野の北口にあるハンバーガー屋でアルバイトをしており、そのバイト先にヒラマツさんという先輩がおりました。
ヒラマツさんは画家を目指しており、あらゆる芸術に造詣が深く、本も沢山読む人でした。
そんなヒラマツさんと夜勤で一緒に働いていたある日、ホシノくん、この本知ってる?と差し出されたのが一冊の小説。
仕事中になんて自由なんだと思いながら、私が知りませんと答えると、滅茶苦茶面白いから読んだ方がいいよ、と言って貸してくれました。
うちに帰ってから早速読みますと、なんだか今まで読んできた小説とは違う感じでした。
言葉が自由というか、とても独特だな、と感じました。
そして気付くと私はひとりで小説を読みながら、ふふふと笑っておりました。
一気に読み終わると自分で買い直し、何度も読み返しては笑っておりました。
当時私は家賃4万円のアパートに住んでおり、その笑い声は隣の部屋にもはっきりと届いていたようで、とうとう隣の住人から「うるさいんですよ」と小言をくらいました。

それから10年経った今、私は自宅の本棚にあるくっすん大黒をたまに読み返しては、誰にも遠慮することなくひとりでふふふふと笑い、
その度に妻から怪訝そうな顔で見られ、それでも私は笑うのでした。
春風亭昇羊

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