昨年の10月12日、「雑誌の話、本の話」でトークをしてくださった松家仁之さんが、
第64回読売文学賞小説小を受賞されました。
受賞の言葉を、ここに記させていただきます。
建築家を主人公に書く。決めていたのはそのことだけでした。
小説を動かすためには空間を用意しなければならない。
そのなかで人はどう動くのか。
光はどのように射し、どんな音、どんな匂いがし、
時間はどのように流れるのか。
小説を書くことは、私には、手元を良く見て釘を打ち、
柱を立て、床をはり、壁を塗るのにひとしいものでした。
このたび、見あげるほど大きな賞を頂戴したのは、
人がそのなかで生き生きと生きる建築物を、
十年後、二十年後も建てつづけよ、
という特別な注文をいただいたものと受けとめています。
ありがとうございました。
(読売文学賞 受賞のことばより)
去年の10月松家さんに、クーネルの元編集長岡戸絹枝さんとお二人で
『雑誌の話、本の話』と題して山陽堂で対談をしていただきました。
11月には、ジュンク堂池袋店で松家仁之さんとヨーテ編集長新井敏記さんとの対談
『物語の生まれる場所』が開催され私も聞きにいきました。
底辺に流れている印象は同じなのですが、
新井さんとの対談は、また違った松家さんの一面を
垣間見させてくれました。
さて、カ-サ・ブルータス4月号より松家仁之さんの新連載『優雅なのかどうか、わからない』
がはじまりました。
第一回目は「こねるネコ」(回文ですね!)
次号がたのしみです。