2012年10月 8日
歯医者さんから見える景色
歯は、大事。
なくなってから気づいても遅い。
こんなに歯が一本なくなるのが不便だとは思わなかった。
ここ3ヶ月くらい、毎週青山の歯医者に通っている。
治療する椅子に座るとおなじみの景色が大きな窓から眺められる。
ところが・・・、
ある日、窓の向こうに大きなショベルカーが。
あのビルを壊すの?まだ建ってから10年も経っていないんじゃないの?
建築費用だってまだ返し終わっていないんじゃないの?
ここのビルを建てた人は、どんな思いで高いお金をかけて建てたの?
私の中で、いろいろな思いが往ったり来たりした。
それから3週間、ビルは跡形もない。
10月12日山陽堂で岡戸絹枝さんとトークをしてくださる松家仁之さんの本
『火山のふもとで』を建築に関わる人たちにぜひ読んでもらいたいと思う。
私は建築に詳しくはないけれど、住む人使う人の立場にたって設計された建物には、
自ずと愛着が湧いて大切にされていくのだろうとこの本を読んで感じたからだ。
壊す、という事実の見えないところには、いろんな理由があるのだとは思うけれど、
時を経ながら少しずつでも味が出てくるような建物が増えてくることを願う。
建物だって、そこに住んだり往来してきた人々の、そして今も住み往来する人々の
声なき声を感じながら年を重ねているのかもしれない。
建物を育てていくのは、そこに住む人、行き来する人たちなのかもしれない。
なくなってから気づいた歯の大切さといっしょに、
歯医者さんに通いながらいろんなことを考えさせられている。