2012年9月 8日
桂おばあちゃん、ありがとうございました。
ちょうど2年前の山陽堂だよりに、登場してくれた桂おばあちゃん。
4日前、お嫁さんからおばあちゃんが亡くなったというお電話をいただいた。
101歳。あと1ヶ月で102歳のお誕生日を迎えるところだった。
桂おばあちゃんは、今から84年前のおばあちゃんが18歳の時から何十年という長きにわたり
山陽堂のお得意さまだった。
当事、この桂おばあちゃんのお母さんは、まだ小僧だった私の父をとてもかわいがってくれたという。
父が訪ねると、女中さんにまかせずに、わざわざ出てきて応対してくれたそうだ。
せっかちな父は、25年前58歳であの世にいってしまったため、孫達はおじいちゃんを知らない。
なので、孫達を桂おばあちゃんのところに連れて行った。
会った事のないおじいちゃんの話をきかせてもらいに。
おばあちゃんの記億の中には、
小僧の父に何か話しかけているお母さんの姿と、まだ若かった父の姿がはっきりと残っていた。
話を聞いていると情景が目に浮かんでくるようだった。
桂おばあちゃんは、とても器用だった。
編み物も刺繡も芸術的だった。
昨年の銀座での個展には母と二人で訪ねた。
桂おばあちゃん
亡くなる朝、いつものようにトーストにマーマレードをつけて、
コーヒーを
「ああ、おいしい」と飲んだ。
そして、その朝午前10時40分に息をひきとられたという。
おばあちゃんは、とてもご家族に大事にされていた。
ことにお嫁さんは、本当におばあちゃんを心から大事になさっていた。
おばあちゃんの喜びがご自分の喜びであるかのように。
お身内だけで、おばあちゃんをお見送りしてお別れができて、
とてもよかったとおっしゃっていた。
おばあちゃんも今頃は、
だんなさまや、先に見送った娘さんや、ご両親、
そして、最後の方で私の父と再会しているだろうか。
桂おばあちゃん、孫達におじいちゃんの思い出の話を聞かせてくれてありがとうございました。
こんどはそちらで小僧のときと同じ位せっかちであわてんぼで早くあの世にいってしまった父に、孫達の話を聞かせてやってくださいね。